小泉流解散総選挙である 【コラム】

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小泉流解散総選挙である。酷暑、残暑の中で走り回りたくない、喧しい金切り声など聞きたくもないと、誰もが本気にしなかった事態が現実となり、議員諸氏や立候補予定者は右往左往、確かに世の中面白い。
 小泉が突き付けたのは「郵政」に賛成か否か、その一点だけ。単純明快、極めて分かりやすかった。
 改革の必要性は誰もが認めるところ、しかし、今回の小泉主導の法案には賛成しかねる、反対だと、各政党、各議員の態度も簡明に分類できる。
 「だが、その余の論点、政策の是非が棚上げ。怪しからん」という、至極まっとうな声は、今や犬の遠吠え。そこが小泉流の真骨頂というべきか。
 喩えて言えばこうだ。
-まあ一献。飲んで食え。
「無論。頂きましょうぞ」
-ささ、これへ。
「ム、酢ではないか。米粒に砂が混じっておるぞ」
-ナニ、俺の酒が飲めんというか、俺の飯が食えんのか。これは異なことよ。
 大義の下に馳せ参じ、桟敷に上って、うつけた罠に気が付いた。だがしかし、掲げた御旗をどう引っ込めるか。進退窮まったのが野党である。
 与党の内にも波紋が広がる。だまし討ちぞ。なにを無礼な。私怨、公憤入り乱れ、脱藩者には刺客が飛ぶ。
 花田家のお家騒動か、かの負け犬女優の離婚騒ぎか、はたまた自民党のぶっ壊しか。チャンチャンバラバラ砂ぼこりん。ドタバタ劇に見とれるうちに、コトの本質が掻き消える。
 民主党は何をしておるのじゃ、共産党はどこへ行った、社民党は…もとより居らぬに等しいか。公明党だけが南無妙法、おのが地盤の金城湯池を守らんと、脇目もふらずに電話作戦にしがみつく。はて、この結末やいかに。
 選挙も政治も、すっかりエンターテインメントの一ジャンルになった。出し物が面白いか面白くないか、唯一それは、演者が仕舞が真剣か否かにかかる。
 やるならやるで真剣に、命がけでやってもらおう。でないと、観客は白ける。
 とはいえ、芝居が面白かったから、どうだというのか。真剣に戦ったからといって、何を得るのか。選挙然り、戦争然り。所詮は目の前の泡沫を追うだけだ。いずれ、後生の歴史家が、我らのことをせせら笑ってくれるだろう。  (醒)

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