穂先が垂れて 【コラム】

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 穂先が垂れて一粒一粒がむっちり膨らんだ稲を見て、もうそろそろかと思ったが、まだ青かった。今年九度目の上陸といわれた台風二二号が過ぎたころ、ようやく取り入れが始まった。
 都会の片隅には、猫の額のような近郊緑地か惨めったらしい田圃しかない。なのに機械が主役で、あっという間に稲刈りが済む。籾だけが袋に入って強制乾燥に回り、支えの茎は細かく刻まれ、稲架がない。
 ようやく秋らしくなった体育の日に、懐かしい風景が見たくて大和盆地を抜けて、榛原から東吉野あたりへ足を伸ばした。山間にも黄金が波打つのどかな田園風景に心が洗われた。
 夥しい数の台風が上陸し、地震、噴火と不気味な気配が続いたが、自然の巡りはしたたかだ。プロ野球の将来を思案したところで益は少ないが、大地に根ざした営みには堅実な実りがある。
 話変わって、イラクに大量破壊兵器はなかったと結論が出た。それでも戦争を仕掛けたことで世界もアメリカも安全になったブッシュが叫び、ケリーがその強弁を非難する。米大統領選は二人の直接対決で国を二分した、のかどうか。最後の盛り上がりを傍目に見ては、なるほど民主主義の国だ、独裁者を選ぶにも手続きがあると知る。
 開戦の大義であったはずの大量破壊兵器。それがあろうとなかろうと大義は揺るがず、だという。「アメリカの君臨の前には、論理など必要ない」という暴論が不動の定理となるかどうか、地球の命運を左右しかねない分かれ道だが、どちらを選ぶか選択権はアメリカ人にしかない。我々は見守るしかない。
 予知や予測が当たろうと外れようと、やがて地震は起きる。どこで起きるか知らないが、どこで起きようとも、結果は受け入れなければなるまいと日本人は覚悟する。北朝鮮はいずれ崩壊する。いつ、どこに弾道ミサイルが着弾しようが侵攻があろうが韓国人は受け止める。恐らく、わが身はボロボロになるだろうが、運命は甘受すべきだと。だが、彼の国の大統領は、来るべき災厄なら先手を打って叩いてしまえの気概だ。
 素晴らしい。まさに全知全能、無謬の神だ。その降臨を待つだけの我々に八百万の神々の祝福があらんことを、ただただ祈るより他なすすべがない。  (醒)

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