北朝鮮から五人の子供を 【コラム】

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 北朝鮮から五人の子供を連れ戻した総理を、「子供の使いにも及ばず」との酷評が迎えた。「すべては私の責任」と開き直る膨れっ面に、多少は同情したくもあったが、まずは驚きの方が大きかった。
 わが国の首相を、一介の庶民がここまで面罵したことがあっただろうか。縄暖簾の向こう側ならいざしらず、素面で正気の人々が、素直で誠実な言葉をもって政治家を非難する光景がテレビに流れたことがあったか。評論家かタレントだかが口汚く罵り合う番組には辟易だが、コレばかりは新鮮に映った。
 脱走兵との間に子供をなした曽我ひとみさんは哀れだ。二重三重の軛を仕掛けた金日成、金正日の悪知恵は言うまでもないが、それをもって米軍における犯罪と棒引きにできるのか。
 「なんとかする」と胸を叩く男の頭の中身を疑う。十枚かそれ以上か、伏せたままのカードについて、カマシも入れずに帰ったのだから、この訪朝はギャンブルにもならなかった。
 ところで、食糧二十五万トンと一千万ドルの医療支援って、いったいナンボ?
 新聞もテレビも、円貨で幾らだと教えてくれないから計算した。コメならば・・・と、政府買い入れ価格を調べて掛け算、割り算を何度かし直し、五百ン十億円!と弾いて目を剥いた。
 ドルの計算が簡単なだけに、食糧の費用がこうも莫大だとは気付かなかった。後に小麦やトウモロコシにすり代えたようだが、「手土産(身代金)はコメ二十五万トン」と先走った某テレビ局に、アノ秘書官が激怒したワケが分かった。金額明示の報道が先にあれば、平壌へ飛び立つ前にコケていたかもしれない。
 それにしても、抜け抜けと騙されてみせる我らが報道諸氏の太っ腹に、あるいはバカを装って騙しの手伝いをする彼らに、つくづく頭が下がる。ガクッ。
 おかげで、夢が潰えた。丁度一年前、「朝鮮総連は本国と手を切れ」と書いた願いは萎み、ヤツらに居直りの余地を与えた。ヤツらとは、約四十年前、同胞を地上の楽園に送った輩だ。儒教の亡霊は世代交代を拒み、息子や娘らの未来に開く花の芽を摘む。 (醒)

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