鶏の大量怪死が 【コラム】

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鶏の大量怪死が、日本国中を震撼させている。恰もテロの如くに。
 ニワトリの風邪引きだとばかりに思っていたら、死んだカラスからもウイルスを検出したといい、ようやく、「鳥インフルエンザ」らしくなってきた。
 昨年秋ごろから、韓国で騒ぎ出し、やがて東南アジアに伝播し、恐らく同じ流れに乗ってか、山口、大分県を経て京都府と兵庫県の境目で火を噴いた。連日の新聞、テレビ報道に晒されて、物言えぬ民は密かに呟く。「お気の毒に!」。
 二十万羽を超す飼い鶏をこっそり売り抜けようとして感染を拡大させた(んだろうなァ)と見られているかの経営者。「腸炎だと思っていた」と苦しい弁解をテレビの前で語っていたが天網恢恢、今や希代の極悪人と決め付けられた。
 だが、しかし、彼とて一義は被害者に他ならない。真っ先に手を挙げて、「助けてください」と声を出してさえいれば・・・。
 村八分でも火事と葬儀は何とやらで、台無しにした事業も、多少は補償を期待できたかもしれない。少なくとも、家畜伝染病予防法とかで罪人に貶められることはなく、ましてや、頸を括るまでは。
 思えば、狂牛病を言い換えたBSE(牛海綿状脳症)や鯉ヘルペス、遡っては食品偽装表示やら雪印の牛乳やら・・・。口に入るものだけに神経質は当然だが、煽って煽られて、また下手打ってドヤされてと、消費者様は、感染症もかくやの集団ヒステリー。
 商売人に高いモラルを要求するのも結構だが、守るべきは何か。食の安全か、ブランドの利権か。それらをゴッチャにした味噌糞議論が横行しては辟易だ。
 そういえば、「助けてくれ」と、真っ先に手を挙げたにもかかわらず、袋叩きにされた若者がいた。予想以上の積雪に、きちんと雪洞を掘ってビバークし、アマ無線(未申請!)でSOSを発した関西学院大生のことだ。
 冬山に挑むこと自体が時代遅れと見なされがちな昨今、彼らのような若者の存在は清清しい。しかも、急時に慌てず、適切な対応で集団を無事生還に導いたリーダーの指導力は立派と褒めてあげたいほど。
 お騒がせは頂けなかったが、あれほどボロチョンに扱われることはなかろう。「諸君、自身を持て」だ。
 アレ、君らもトリ(ワンダーフォーゲル=渡り鳥)の仲間だったっけ。(醒)

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